免疫力 免疫を構成する「LPS]と免疫力を高める食材!
あなたはスーパー免疫力を育む「LPS」を知っていますか?
一生健康に暮らすために、今、「LPS」(正式名:リポポリサッカライド)が注目を集めています。LPSはその発見された、いきさつや、その役割がビタミンに似ていることから”免疫ビタミン”と香川大学の杣(そま)教授、稲川准教授が呼んでいます。そもそもLPSって何?どんな効果があるの!その有効な摂り方は?そこで今回はこのLPSについての詳しい内容を辿っていきたいと思います。
Contents
「免疫」の本当の意味は?
「免疫」という文字通りに考えると疫病=感染症から免れることと、理解している人が多いかもしれません。体内に悪さをする細菌やウイルスの病原体を除去する働きが免疫ですが、それだけではなく、免疫とは人が健康を維持するための最も大事な仕組みなんです。
■健康であるために体の機能で大切な2つのこと
1、病原体や死んだ細胞と老廃物などがきちんと排除されること
2、臓器や器官がしっかりとはたらくこと
■健康の番人である「マクロファージ」
免疫で重要なカギを握っているのが「マクロファージ」という免疫細胞です。いままであまり注目されたことはありませんが、人に備わる自然免疫の中心的存在で、マクロファージが活発に活動することで健康な体が維持されるのです。
■「LPS」は免疫細胞を活性化させる超大切な物質
「LPSってなんだ」と思われる人が多いと思いますが、その重要性は高いのです。糖尿病や高血圧、アトピー、胃潰瘍、がん予防に至るまでさまざまな効果を発揮する優れた物質で、特別な食品やサプリメントにあるということではなく、身近な食品に含まれています。
「マクロファージ」の活動状態こそが免疫システムの優劣を決める
免疫システムを担っているのは、血液中の白血球で、それぞれの免疫細胞が自分の役割を果たすことで健康は守られますが、その中でも最も重要なはたらきをするのが「マクロファージ」である、と杣教授は力説しています。
顆粒球(白血球の1種で細菌やウイルスに攻撃を仕掛ける物質)に対して、体内に侵入してきた細菌に攻撃を命じるのも、B細胞やT細胞に異物の情報を伝え、それに見合う抗体を作らせるのもマクロファージです。つまり、マクロファージが働かなければ免疫細胞を上手にコントロールできないのです。それだけでなく、自らも体内に侵入した病原体や老廃物などの異物を処理し、もっといえば臓器や器官のサポートもするほど体内で高度なはたらきをする免疫細胞です。
体を守る免疫細胞は自然免疫と獲得免疫
免疫には2種類あります。生まれたときから備わっている自然免疫と、後天的に身につく獲得免疫です。これまで免疫というと、獲得免疫ばかりに注目が集まっていましたが、自然免疫では抑えきれないインフルエンザや風疹などを攻撃し、病気の発生を防ぐという働きをしています。さらに2011年、アメリカテキサス大学のブルース・ボイトラー博士らの研究によって、獲得免疫が働くためには自然免疫の力が欠かせないということがあきらかになっています。
■自然免疫のマクロファージが体内の不要物を食べつくす
マクロファージは「マクロ=大きい」「ファージ=食べる」を意味し、その名の通り「貪食(どんしょく)」という機能をもつ食細胞です。その大食いぶりから大食細胞と称されるほどです。
では、何を食べるのか?
外から侵入したウイルスや細菌でT細胞やB細胞に任せる前に自分で処理をします。さらにがん細胞や、酸化した脂質、変色したたんぱく質などの老廃物、ほこりにいたるまで、体内にある不必要なものをすべて平らげるという、体内の掃除をしてくれる頼れる掃除屋さんです。
・マクロファージが食べつくす主なもの
がん細胞
体の中に知らないうちに発生しているがん細胞。その数、1日5000個と言われています。これをそのまま放置すれば…….。
外から侵入したウイルスや細菌
風邪やインフルエンザの原因となる細菌やウイルスなどの病原体は、まさにマクロファージの敵。見つけ次第すぐにむしゃむしゃと食べます。
死んだ細胞や老廃物
体内で寿命を迎えた細胞や、変色して使えなくなったタンパク質、酸化したコレステロールもまた、異物として識別され除去される。
マクロファージがいなければ体内はゴミだらけになってしまう
もし、マクロファージの働きが低下したらどうなるか?
きっと体内はゴミだらけになってしまう。人間の体についているものは絶えずエネルギーをとりいれて代謝をし、別のエネルギーを作り出して細胞を生かしていますが、生きている限り常に細胞は新しく生まれ変わっています。「役目を終えた細胞は、言うなれば死骸で、体にとって異物でしかありません。
もしそれが取り除かれなければどうなるか?
体内にゴミがあふれ、それこそがんやアルツハイマー病の原因になるなど、さまざまな病気を引き起こすことになります。胎児の手には水かきがついているものの生まれてくるときにはなくなっています。それは成長段階で細胞が生まれ変わり、死んだ細胞をマクロファージが食べているからです。
「マクロファージがいなければ健康を守ることができないばかりか、生きていくこともできません」と稲川准教授は強く言っています。
■体の臓器や器官が正常に機能できるのもマクロファージのおかげ
マクロファージにはもう一つ、忘れてはならない重要な機能があります。それは、臓器や器官の働きをサポートすること。「体の各部分にはそれぞれ役割があります。腸は食べ物の消化吸収をする、肝臓は解毒をするといった働きがありますが、マクロファージはそうした生理的機能を正しく行えるようにしてくれるんです。」
「端的に言えば健康を維持する仕組みを支える、元気な体の基盤作りをしてくれるのがマクロファージです」。
マクロファージネットワークが体内に張り巡らされ健康を維持
「マクロファージは免疫細胞の中でも例外的な存在」で、脳や肺、肝臓、腸、骨、副腎、筋肉、皮膚に至るまで、全身のあらゆる組織に存在しています。各組織の影響を受けながら、その「組織ごとに違う表情のマクロファージがいるんです」と杣教授は言っています。
たとえば脳に存在する「マイグロリア」というマクロファージ。「脳の中に溜まった老廃物を食べつくすことは、ほかの臓器にいるマクロファージと同じですが、これにはまた、脳の神経細胞のつなぎ目であるシナプスを正しく形成する働きもあることがわかっています。杣教授と稲川准教授は、各組織に点在するマクロファージが互いに情報伝達を行うことを「マクロファージネットワーク」と呼んでいます。
これこそが生体恒常性を維持する基盤であり、神経系や内分泌系と連携しながら代謝やホルモン調整などに大きな影響をもちます。
■マクロファージはいたるところにいる!
脳 マイグロリア
「睡眠中に脳の中に溜まった老廃物を除去し、脳の働きを正常に維持。アルツハイマー病の予防に期待大」
「鼻の粘膜につく病原体に対抗できるよう、獲得免疫に情報を伝え、感染に備える」
「point!獲得免疫の接点であり、連携を高める。ワクチン効果があるのはこのマクロファージのおかげ」
「pm2.5(微粒子)やタバコのタールなどをすみやかに除去しながら、正常な呼吸ができるように働いてくれる」
肝臓 クッパー細胞
「体内のゴミを最もよく食べるマクロファージ。解毒作用が必要とされる臓器ゆえのはたらきである」
副腎 副腎皮質マクロファージ
「糖代謝やストレスから身を守るために有効なステロイド(副腎皮質)ホルモンの産生に関与している」
小腸・大腸 腸管マクロファージ
「寿命の短い腸の上皮細胞の死骸をすぐさま食べ、腸の構造を維持している。蠕動(ぜんどう)運動もサポート
筋肉 筋肉マクロファージ
「筋肉は運動によって壊され、再生することによって作られるが、その再生のサポートしてくれる」
骨 破骨細胞
「骨の再生に不可欠な細胞。古くなった骨を食べ、新しくリニューアルしてくれる」
皮膚 ランゲルハンス細胞
「皮膚の新生や傷の修復などに活躍。さらに外来異物の情報をキャッチする」
マクロファージの弱点はストレス。どうコントロールするかがカギ
多様な働きで、私たちの健康を守ってくれているマクロファージですが、残念ながら苦手なものがあります。
それがストレスです。
「マクロファージはストレスにとても敏感で、ストレスが増えるほど、その力は弱くなっていくことがわかっています。」と、杣教授は言っています。
とはいえ、現代社会においてストレスのない生活を送ることは難しい。
仕事やお金のこと、家族や友人にまつわる人間関係などの精神的ストレスもあれば、大気汚染や騒音、地球温暖化による科学的ストレス、過度な運動や冷暖房から受ける物理的ストレスなど、数えたらキリがありません。
point!まず〚大事なのはストレスをいかにコントロールするかということ〛
〖過度な運動なら休めばいいし、飲酒や喫煙も控えることができる。リカバリーできるものならさほど心配はありませんが、慢性的なストレスとなると問題です。マクロファージの機能が抑制され病気の引き金になりかねない〗
■だからこそ「必要なのはストレスが加わってもめげない強いマクロファージ」そのためにLPSがある
●主なストレスの種類
物理的ストレス ●過度な運動 (アスリートは病気や感染症にかかりやすい) ●冷暖房による暑さ、寒さ ●長距離通勤 ●手術や出血 ●気圧の変化科学的ストレス ●大気汚染 ●騒音 ●飲酒 ●喫煙
精神的ストレス ●対人関係 ●挫折 ●失敗 ●失恋 ●離婚 ●転勤 ●失業 ●成績不振 ●いじめ ●転移 ●家庭内暴力
「マクロファージを活性化させるLPS」を摂って病気と無縁の体に
リポポリサッカライド、略してLPS…..これこそが杣教授と稲川准教授率いる研究チームが、25年の歳月をかけて追及した”マクロファージを元気にする物質”です。
LPSは専門的にいうと、グラム陰性菌(グラム染色により脱色された細菌)の細胞表面にある物質で、野菜や穀類などの植物に多く存在しているパントエア菌(小麦粉発酵エキス)などに由来する一成分です。「LPSを摂ることでマクロファージは適度に活性化して、たとえストレスが加わったとしてもその機能を保つことができますし、異物を処理する能力をより高めることもできる」と稲川准教授は言っています。
LPSは野菜や穀類など、自然豊かな食材に含まれている
「LPSは主に土壌に含まれる細菌の一成分ですから、土で育つ野菜や穀類に多く含まれています。とくに農薬や化学肥料を使用しない自然農法などで栽培されたものほど、その含有量は多い!」ちなみに田んぼや畑、森林などの土があるような環境なら、空気中にもLPSは浮遊しています。
自然が身近だった時代は浮遊量も多く、LPSの摂取量が今よりずっと多かった。現代に流行している花粉症やアトピーが多いのはLPSが少ないことに起因しています。
LPSを摂取することで多くの健康効果が期待できる
LPSを摂取すると、マクロファージを要とする自然免疫の力がパワーアップし、現代人を悩ませる多くの不調をはじめ、多様な生活習慣病も予防、改善することができます。「たとえば糖尿病のAGEs(タンパク質の糖化反応に因って作られる生成物)の一種のHbA1c(糖尿病の判断基準に加えられた数値)が糖尿病のマーカーになっていますが、体側からすればAGEsはごみで、LPSを摂ってマクロファージを活性化することで、AGEsの排除がより促進され、糖尿病の予防や改善につながります。
さらにLPSには、老化予防や美肌効果といったうれしい効果もあります!しかし、残念ながらそのまま何もしないで体の中で作り出すことはできないので、食品の中から摂取することが必要です。
LPSには酵母や乳酸菌の1000倍~1万倍の力が!
LPSがマクロファージを活性化するために必要なものですが、そのほかにあるのでしょうか?きのこ類に含まれるβ-グルカンや、ヨーグルトなどで、おなじみの乳酸菌もまた免疫を活性化するために有効です。
ただ決定的に違うのはそのパワー。LPSの活性化力はそれらに比べると!1000~1万倍強いことがわかっています。
「LPSはごく少量の摂取で、私たちの健康維持に、強く貢献してくれるのです」
LPSは食べる、飲む、肌に塗ることで効果を発揮。まさに「免疫ビタミン」
LPSが効果を発揮するのは、口や腸の粘膜、そして皮膚ですから、「食べる」「飲む」{肌に塗る}ことが摂取の大前提です。「そもそもLPSは、少なくとも多細胞動物が生まれてからずっと、動物の免疫機能を正常に保ち、活性化させてきたという歴史があります。
LPSの存在を知らないうちから、私たちはそれを口にし、浮遊する空気にふれることで、多大な恩恵を受けてきたと言えます。とはいえ、現代社会においてLPSの暴露量(空気中で自然に浴びる量)は極端に減っています。
point! 「道路は土からアスファルトに、畑では除草剤や農薬がまかれていますから、健康維持を図るな ら積極的に食事から摂りいれることが求められます」