睡眠 「眠る秘訣シリーズ」②睡眠を調節する2つの基本法則
現代社会では、夜間の不眠に加えて、昼間の眠気に悩まされる人が増えました。日本のほとんどの人が眠りに何らかの悩みをかかえています。それでいて、これといった対策がとれなくて困っています。ここでは井上昌次郎先生の著書「眠る秘訣」から「眠る秘訣シリーズ」②として睡眠を調節する2つの基本法則をお伝えしたいと思います。
サーカディアンリズム
じつは「決定的に有効な対策」は、ちゃんとあるのです。口で言うなら簡単なことですが、眠りを調節する仕組みは2種類の基本法則がありますから、これらの基本法則に忠実に生活しさえすればよいのです。多くの人は知っていますよね。頭でわかっていても、仕事優先の現代社会では、毎日これを守るのもなかなか大変です。そうなると「眠り下手」になるのはあたりまえというわけです。
その第一の法則とは、睡眠はほぼ1日を周期とするリズム現象であり、脳内の「体内時計」が管理しているというものです。ほぼ半日ずつの休息期と活動期のプログラムが、私たちの脳内に生まれつきインストールされています。
暗い夜が眠るのに適した休息期であり、明るい昼間が起きているのに適した活動期です。しかも、人間の体内時計は、1日におよそ1時間遅れる性質をもっていますから、私たちは毎朝この遅れを修正して、昼夜の24時間サイクルに同調させています。脳内の体内時計が刻む、このような約25時間の周期を「サーカディアンリズム」と呼びます。
なぜこのような生まれつきの生活リズムがあるのでしょうか?ほとんどの生き物は、昼夜が規則的に交代する地表の限られた範囲内(生物圏)に住んでいます。ですから、昼夜の日周変化に同調し、さらに、この変化を予測しながら、活動と休息のリズムを繰り返すことが、最も基本的な生きていく戦略になります。
眠りの質と量は「自動的に」決められる
第2の法則とは、寝る直前までに睡眠がどれだけ過不足なのか、という情報をもとにして、眠りの質と量とが脳の中で自動的に決められるというものです。「自動的に」というのは、私たちの「意志とは無関係に」という意味です。言い換えると「眠る脳」つまり睡眠を必要とする大脳とは別に、「眠らせる脳」つまり眠りのセンターがあって、無意識のうちに、睡眠・覚醒の管理をしているということです。眠らせる脳は、寝不足や寝すぎを解消させる埋め合わせの機能を備えているのです。
そのため、じっさいに行動した活動時間帯の内容次第で、後からくる眠りの中身が変わってくるという因果関係が存在します。
たとえば昼間ぼんやりして起きていたり居眠りしたりすると、夜になっても眠くならなかったり、寝つきが悪くなったりしますし、眠りは浅くて途切れがちになります。逆に昼間しっかり起きていると、夜間の眠りは深くて連続するのです。
また一晩眠らないで起きつづけるとたまらなく眠くなり、寝るとたちまちぐっすり眠れるわけですね!
眠らせる脳は「脳幹」にあります。脳全体を樹木にたとえると、こんもりと茂った枝葉が大脳、その真ん中にあって枝葉を支える1本の幹がにそれぞれに相当します。幹の上から下へ順に間脳・中脳・後脳・髄脳に分けられます。
ですから、脳幹とはこれらの古い下位の脳を総称する用語です。脳幹のなかに、眠らせる脳は複雑なネットワークをつくっています。さて2つの法則はそれぞれ協調しており、たがいに相手を補い合うような関係にありますが、それぞれ独立に作用を発現させることができます。。
■うまく眠ってうまく目覚めるには、なにはともあれ、それぞれの基本法則に沿って忠実であることです。規則正しい生活をすることとメリハリのきいた生活をすることですね。